10.準確定申告
●期限は相続開始から4か月以内です。
●還付を受ける場合は5年以内に申告すればよいです。
●納税額は相続税の相続財産から差し引けます。
準確定申告の期限と対象者
被相続人が自営業者だったなど、存命ならば確定申告が必要なケースがあります。
しかし、本人が亡くなっている場合には確定申告ができません。
そこで、相続人が代わりに申告を行います。
これを準確定申告といいます
準確定申告は、被相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得を計算します。
これは相続税の申告とは別物です。
あくまでも、その年分の所得税の申告です。
被相続人が前年分の確定申告をしないまま死亡したときは、合わせてその申告を行います。
いずれも期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。
確定申告は翌年の2月から3月にかけて行われますが、相続の場合は期限が異なりますのでご注意ください。
例えば、7月1日に亡くなった場合は、11月1日が申告期限です。
被相続人が会社員だった場合は、勤務先が年末調整を行ってくれますので、基本的には申告は不要です。
ただし、給与の年間収入金額が2,000万円を超える場合や、給与以外に20万円を超える所得がある場合などは申告が必要です。
また、準確定申告を行うことで納め過ぎた税金の還付を受けられることがあります。
これを還付申告といいます。
還付申告の場合は、5年以内に申告を行えばよいことになっています。
準確定申告の注意点など
準確定申告は、確定申告書とその付表を提出して行います。
申告書は、被相続人の名前で作成します。
付表は、相続人の連名で作成するのが基本です。
一緒に作成できない相続人がいる場合は、その人も同じ内容の申告書と付表を別途提出することになります。
準確定申告の注意点は、生命保険料や社会保険料、医療費控除の対象になる医療費などは、死亡日までに支払った額が限度になることです。
被相続人の治療費でも、被相続人が亡くなってから支払った分は控除の対象となりません。
ただし、相続人と被相続人が同一生計の場合は、相続人の通常の確定申告の医療費控除に含めることができます。
なお、相続税の計算の際には、納めた所得税は、債務控除として相続財産から差し引くことができます。
反対に還付金がある場合は、相続財産にプラスされます。