11.相続税の申告①

●相続税の申告期限は相続開始から10か月以内です。

●申告が遅れますと加算税が課されます。

●特定を利用している場合は納税額がなくても申告します。

ご自身も申告はできます

相続税の申告は、申告書の枚数が多く、所得税の確定申告などと比べますと、かなり複雑です。ただ、財産の種類が自宅1軒と預貯金、数種類の上場株式くらいでしたら、ご自身で申告書を作成することも可能です。申告書の作成については税務署でも教えてくれます。税務署で配布されている申告書の手引きを参照しながら、わからないことは税務署に確認しながら進められるとよいでしょう。

相続税がなくても申告が必要な場合

相続税の申告では、単純な計算ミスや記載ミスに気を付けなければなりません。さらに大事なのは、申告すべき人がきちんと申告するということです。


相続税の申告は、相続財産(各人の課税価格の合計額)が基礎控除額を上回る場合に行います。納付すべき相続税がなくても申告が必要なケースもあります。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などを利用すれば、納税額がゼロになるケースでも申告が必要です。申告しないとせっかくの特例が適用されませんので、申告漏れの内容にご注意ください。


また、相続時精算課税による贈与がある場合、その贈与財産と相続財産の合計が基礎控除額を超えなければ申告は不要です。ただし、すでにおさめた贈与税がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。


相続税の申告・納付期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署です。相続人の住所地の税務署と勘違いするケースが多いので、間違いのないようにお気を付けください。また、相続人が複数いる場合、共同で申告書を作成し、連名で提出するのが一般的です。ただ、共同申告でも単独申告でもどちらでもよいことになっています。


申告書は最寄りの税務署や国税庁のホームページで入手できます。

相続税申告書の記入

相続税の申告書は、第1表から第15表まであります。


確かに数が多くて大変と思われますが、すべてに記入する必要はありません。例えば、配偶者の税額軽減を利用する場合は、第5表の「配偶者の税額軽減の計算書」に記入、生命保険の受け取りがある場合は、第9表の「生命保険などの明細書」に記入します。


また、申告書を作成する際には、順を追って記入していくことになります。ただ、第1表から順番に記入するわけではありません。一般的には、第9表~第15表→第1表~第2表→第4表~第8表→第1表の順で記入します。


まず、第9表~第15表で、相続税の計算のもととなる課税財産や債務控除などについて記入します。そして、課税財産の合計額などを第1表に転記し、第2表で相続税の総額を計算します。


次に、第4表~第8表で相続税額から差し引ける税額控除の額を計算し、第1表に控除額を転記して、納めるべき納税額を確定させたところで申告書の作成は完了です。

相続税申告書の添付書類

相続税の申告では、申告書とは別に様々な書類を提出します。大きく分けますと次の4つのカテゴリ書類が必要になります。


①被相続人と相続人の身分や関係に関する書類(戸籍謄本など)

②遺産分割に関する書類(遺産分割協議書または遺言書)

③財産に関する書類(不動産の登記事項証明書、銀行残高証明書、有価証券残高証明 

 書、生命保険の支払通知など)

④債務に関する書類(借用書、葬式費用の領収書など)


①と②は申告する人すべてに必要な書類です。

③と④は被相続人の財産などにより異なります。財産の価額が多いほど添付書類も多くなります。

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