6.遺贈

遺言があれば、他の人にも財産を渡すことができます。

遺言によって特定の人に財産を渡すことを遺贈といいます。

遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。

遺言があると他の人にも財産を渡せます

「相続」は、一定の親族である相続人しか権利がありません。

死後に自分の財産を相続人以外の人あげたい場合、遺言が必要です。

遺言さえあれば、他の人にも財産を渡すことができます。

例えば、介護してもらった息子の嫁、お世話になった友人にも渡すことができます。

そして、会社やボランティア団体など人物以外に渡すことができます。

ただし、遺言はただ書面を残せばいい訳でありません。

民法に定める一定の方式で遺言を残す必要があります。

このようにして、故人の意思が尊重されます。


遺言によって特定の人に財産を渡すことを遺贈といいます。
遺贈によって財産を贈る人を遺贈者、遺贈によって財産をもらう人を受遺者といいます。
単に財産を渡すだけでなく、財産を渡す代わりに、受遺者に一定の義務を課す負担付遺贈という方法もあります。


相続人に対しても遺贈は可能です。
しかし、「遺言による遺産分割方法の指定」や「相続分の指定」とも解釈できますので、あえて遺贈という言葉は使わず「相続」として扱うのが一般的です。

特定遺贈と包括遺贈

遺贈は、その指定方法の違いによって、①特定遺贈と②包括遺贈の2種類があります。

 

①の特定遺贈は、「Aに自宅を」、「Bに○○会社の株式を○株」というように、誰に何を渡すかを具体的に指定する方法です。

そして、②包括遺贈は、「Cに財産のすべてを」、「Dに財産の3分の1を」というように、相続分の割合を渡す財産を指定する方法です。

 

包括遺贈を受ける人は、相続人でなくても、相続人と同等の権利・義務を持つことになります。

ただし、包括遺贈は何をどれだけもらえるかは具体的にはわかりません。

そのため、遺産分割協議にも参加して相続人と話し合う必要があります。

 

また、特定遺贈は借金を引き継ぐ義務はありません。

包括遺贈の場合は、指定された割合に応じてマイナスの財産を引き継ぐ義務があります。

ただし、遺贈はあくまでも故人(遺贈者)の一方的な意思表示ですので、もうう人(受遺者)がその遺贈を受けたくない場合は、放棄することもできます。

 

なお、放棄する場合、特定遺贈はその意思を他の相続人などに表明するだけで足ります。
一方、包括遺贈は相続放棄と同様に、3か月以内に家庭裁判所にその旨を申し立てをする必要があります。

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