14.祭祀財産
●お墓などの祭祀財産は遺産分割の対象外で、相続税もかかりません。
●祭祀財産は単独で相続します。
●親族以外でも祭祀承継者になれます。
祭祀財産は「相続」と別物
お墓や仏壇、位牌、神棚など先祖を祀るためものを祭祀財産といいます。
相続時の祭祀財産の扱いについては、民法で定められています。
祭祀財産は、通常の「相続財産」に含めず、「相続」とは区別して受け継ぐ人をきめることになっています。
祭祀財産を受け継ぐ人を祭祀承継者といいます。
祭祀財産を受け継ぐことは、お墓を守る義務や法事などの祭祀を行う際の様々な決定権をも引き継ぐという意味です。
祭祀財産を分割して複数の人で相続すると、誰にその決定権がわからなくなり、支障をきたします。
そこで、祭祀財産は分割せずに、原則として1人の人がまとめて引き継ぐことになっています。
祭祀承継者は誰がなるか
祭祀承継者を誰にするかは、被相続人の意思が尊重されます。
被相続人が遺言で指定、もしくは生前に口頭で指定していれば、それに従います。
遺言などがない場合は、地域や各家族に伝わる慣習を元に遺族で話し合い、それでもまとまらない場合は、家庭裁判所の調停または審判で決めることになります。
祭祀財産は一般に「長男が引き継ぐもの」と考えられがちですが、民法では特にそうした規定はありません。
相続人以外の人を選ぶこともできます。
例えば、内縁の妻や親しい友人を祭祀承継者にすることも法律上は可能です。
ただし、墓地や霊園の使用規則で「承継者は三親等以内の親族」などと定められていることが多いため、親族から選ぶのが一般的です。
遺言などで指定された祭祀承継者は、基本的に祭祀財産を放棄することはできません。
しかし、そうだとしても、引き継いだお墓の管理や法要を欠かさず行わなければならないというわけでなく、承継した祭祀財産は、祭祀承継者が処分することも可能です。
確実にお墓や仏壇などの祭祀財産を引き継いでもらうためには、遺言で承継者を指定して、管理や祭祀を行うことを財産引継ぎの条件とする方法もあります。
その際には、祭祀にかかる費用を相続財産として大目に分け与えることを考慮してもよいでしょう。
なお、祭祀財産には、相続税はかかりません。